京都大学・学部・行政学演習15

演習題目:「政治学実証分析のリバース・エンジニアリング」

演習の概要・目的

リバース・エンジニアリングとは,製品の動作を観察したり,分解することで,その構造や製造方法を調査することである.この演習では,現代政治の実証分析を一つ取り上げ,それに対してリバース・エンジニアリングを全員で試みる.すなわち,その研究が扱った先行研究,依拠した理論,構築した仮説,収集したデータ,それに対する統計分析を,一つ一つ解体し,再現していくことを試みる.

到達目標

現代政治学における実証分析が,いかなる手順や作業に基づき,どのような思考によって営まれるのかを,実際に体験し,修得すること.

授業計画と内容

4月13日:ガイダンス,文献の読み方について

資料:曽我(2014)「先行研究を読むとはいかなる営みなのか」

4月20日:検討すべき先行研究4点の選択を行う

事前課題:各自が砂原庸介「事業廃止の政治学」『年報政治学』2008-IIを読み,そこで取り上げられている先行研究の中から,どれを自分たちでも読み,検討を加える対象とするのか,その理由とともにメモにまとめておく.

4月27日:先行研究の検討1

(終了後,懇親会;5/11担当班から幹事を出す)

なお5月1日(金)は月曜授業日となるが,休講とする.

5月11日:先行研究の検討2

事前課題:四つの班に分け,割り当てられた先行研究(4/27の担当班には日本語論文を,5/11の担当班には英語論文ないし本を割り当てる)について,必要ならばコピーを全員分用意して配付するとともに,内容の要約と検討,砂原論文での取り上げ方とそれへの検討の合計四点について報告を行う

5月18日:理論と仮説の検討

事前課題:砂原論文の理論と仮説の部分について,各自で内容を確認した上で,その根拠,論理的な整合性,射程の長さ,面白さなどについて検討を加え,メモを用意しておく

5月25日:データの検討と収集するデータの決定

事前課題:仮説の検証に用いている指標とデータについて,仮説における変数の具体的指標としての妥当性,データの収集方法がいかなるものであるかの検討を加え,メモにしておくとともに,データの収集方法を確認し,自分たちで収集すべきものは何かを検討する.

6月1日は休講としてデータ収集にあてる.やはり四つの班に分け(メンバーは入れ替える),それぞれが一つの変数について,データの収集作業を分担して行う.収集されたデータについて,6月5日(金)までに担当教員に送付を行う.足りない部分は担当教員の方で補い,データセットを確定させる

6月8日:分析手法の検討

事前課題:砂原論文のデータ分析部分について読んだ上で,自分の持っている知識と照らし合わせ,何ならわかり,何ならわからないかを確かめておく

当日は,分析結果を再現するために,どのような知識が必要か,どのような技術が必要かを確認し,それを修得するためにどのようなステップを踏む必要があるかを確認する.少なくとも誰かひとり代表のパソコン上で,分析結果を再現できるように用意(データセットファイルや統計ソフトなど)する

6月15日:追試結果の報告

事前課題:全員で分析結果の再現を試みる.どのような作業を行い,どのような結果が出てきたのか,記録を取っておくこと.

当日は,追試結果を報告してもらう.最終的な結果のみならず,中途経過において,どのような困難があったのか,また,そうした作業の中で出てきた疑問点などについて報告してもらう.

6月22日:論文全体の検討

事前課題:自分たちでの追試結果も踏まえた上で,論文を全体としてどのように評価できるか,各自で考えておく.設定した問い自体の意味,問いに対してどのような答えをどのように導いたのか,その答えはどの程度確かなものといえるのか,それぞれの判断を下し,メモにまとめておくこと.

6月29日:改善点の検討

事前課題:6/22の議論を踏まえた上で,どのような点を改善すると,より良い論文になったのか,それぞれが検討しておく.

7月6日:プレゼンのリハーサル

事前課題:6/29の議論を踏まえた上で,追試の結果報告とより良い分析の提案についてプレゼンを行う(スライドを用いること).全員で分担して準備をする.当日は,実際にプレゼンをした上で,担当教員がコメントをする.

7月13日:砂原さんへの学問的挑戦.プレゼンを行い,砂原さんからコメントをもらう.終了後,砂原さんの慰労会.

合否判定方法・観点及び達成度:平常点により評価する.出席状況,議論への貢献,種々の作業への貢献を総合的に評価する.

授業外学習(予習・復習)等:対象文献は,砂原庸介「事業廃止の政治学」『年報政治学』2008-IIである.ダウンロードできるので,第二回の講義までには読んでおくこと.https://www.jstage.jst.go.jp/article/nenpouseijigaku/59/2/59_2_237/_pdf

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