●講義の目標
この講義は,現代日本の政治および行政に関する先行研究の講読を通じ,つぎの三つの目標を目指す.
第一に,現代日本政治・行政についての知識や情報を増大させること.第二に,政治学の実証分析として適切なリサーチデザインがいかなるものなのかを,実際の研究を通じ理解すること.第三に,研究動向を理解し,さらなる研究の進展の余地がどこにあるかを見つける能力を伸ばすこと.
なお,この講義は,同じ担当者による行政学研究・講義1のアドバンストな科目である.
●進め方
大きく分けて二つの部分からなる.第一部は文献講読である.毎回,近年出版された日本政治・行政に関する主要な業績を一つ取り上げる.各回の講義では,報告者を定めず,ディスカッションを進めていく.特に提出は求めないが,ディスカッションに向けて取り上げるべき論点や疑問点については,メモを用意した上で講義に臨むこと.また,課題文献のコピーは用意しないので,各自で用意されたい.
第二部は,レビュー論文の執筆と検討である.講読した文献をもととして,各自が「現代日本政治・行政の分析の現状と展望」に関するレビュー論文を執筆する.それを参加者全員で共有し,研究動向の理解と展望の仕方について,検討を行う.
●講義計画と課題文献
(I)
- 飯尾潤『日本の統治構造』中公新書,2007年.
- 内山融『小泉政権』中公新書,2007年.
- 菅原琢『世論の曲解』光文社新書,2009年.
- 竹中治堅『首相支配』中公新書,2006年.
- 北岡伸一『自民党』中公文庫,2008年.
- 野中尚人『自民党政治の終わり』ちくま新書,2008年.
- 中野雅至『政治主導はなぜ失敗するのか?』光文社新書,2010年.
- 鈴木亘『財政危機と社会保障』講談社現代新書,2010年.
- 山下一仁『農協の大罪』宝島新書,2009年.
- 池上直己『医療問題入門(第4版)』日経文庫,2010年.
- 井堀利宏『公共事業の正しい考え方』中央公論新社,2001年.
(II)
行政学研究・講義1では,新書を取り上げることとするのに対して,こちらは本格的な研究書を取り上げる.課題とする文献は,参加者の意向を聞いた上で,初回に決定する.
各回の講義では,報告者を定めず,ディスカッションを進めていく.特に提出は求めないが,ディスカッションに向けて取り上げるべき論点や疑問点については,メモを用意した上で講義に臨むこと.また,課題文献のコピーは用意しないので,各自で用意されたい.
購読終了後,レビュー論文の執筆と検討を行う.講読した文献をもととして,各自が「現代日本政治・行政の分析の現状と展望」に関するレビュー論文を執筆する.それを参加者全員で共有し,研究動向の理解と展望の仕方について,検討を行う.
●成績評価
毎回の講義における参加の程度(単なる出席は参加ではない):70%
レビュー論文の提出と内容:30%
●教科書参考書
教科書は用いない.参考書については,講義中に随時紹介する.