- 参加者数:4回生=9名(2名はオブザーバー参加),3回生=7名
- 目標
- 政治学・行政学の最近の学術論文を理解し,検討する能力を身につける.最先端の研究の少なくとも「消費者」になること.
- 文献をどこまで深く読めるのか,どこまで拡げることができるのか,他の学生からの刺激も受けながら,その水準を高めていって欲しい.文献に基づいて議論するという経験や,文献を読みっぱなしにするのではなく,もう一度,ディスカッションなども受けて吟味するという読み方も経験してほしい.
- 進め方
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- 毎回,二つの文献をセットで取りあげる.
- 報告者(各文献につき一人)
- 執筆者になりきって,研究成果の報告を行う.報告時間は15分.スライドを用意するとともに,紙の資料も16人分,用意する.
- 討論者(二つの文献を一人で担当;初回のみ二人で)
- Devil’s advocateに徹して,論文の問題点(論理の矛盾か根拠の欠落を中心に)を一つの論文につき,三カ所,指摘すること.
- 当日は,口頭で,質問を行う(スライドや紙の資料は必須ではない).
- 他の参加者
- 課題文献について,事前に読んでおき,報告者と討論者のバックアップ(討論者の質問に報告者が答えられなければ,代わりに答える;討論者が指摘していない問題点があれば,その指摘を行う)を行う.
- それぞれの論文の検討を終えた後,ラップアップのディスカッションを行う.ここは自由に,日本の政治や行政についての意義や他の文献との関連などを自由に議論してよい.逆にいえば,論文の検討の段階は内在的批判に徹すること(あくまでもトレーニングとして).
- 追記:実際には,論文の検討のディスカッションが活発だったため,毎回,一つの文献のみを取りあげることに変更した.
- 各回の予定
- 追記:上述の通り,実際には毎回一つの文献に絞った.実際に扱った文献に*をつけてある.
- 10/2 自己紹介とガイダンス
- 10/16 中央省庁
- *原田久 2013.「公文書管理制度の実証分析」『立教法学』88:314-298.
- *北村亘 2004.「予算使途別分類から見た外務省」『甲南法学』45(1): 61-81.
- (10/23は休講)
- 10/30 政策実施と官僚制
- *関智弘. 2014.「組織人としてのケースワーカー : ストリートレベルの官僚制の再検討」『年報行政研究』49: 81-98.
- *荒見玲子 2014.「資格認定の実施過程におけるアクターの応答性の規定要因とそのメカニズム : 福井県の要介護認定調査の分析から」『社會科學研究』65巻1号: 135-178頁.
- 11/6 政官関係
- *河合晃一 2017.「金融行政組織の制度設計をめぐる90年代日本の政治過程」『金沢法学』59(2): 75-115.
- 増山幹高 2002.「議事運営と行政的自律」『レヴァイアサン』30: 41-66.
- 11/13 政党と首相
- *藤村直史 2016.「政党の選挙戦略と党内の資源配分 : 内閣総理大臣による選挙期間中の候補者訪問」『年報政治学』2016(2): 99-119.
- 濱本真輔 2015.「首相と党内統治 : 人事と造反」『選挙研究』31(2): 32-47.
- 11/20 議会
- *築山宏樹 2015.「地方議会の役職配分 : 委員会構成の規定要因」『法学政治学論究 : 法律・政治・社会』104: 33-57.
- 松浦淳介 2016.「特定秘密保護法案の立法過程 : 分裂議会における参議院の拒否権と非決定現象」『法政論叢』52(1): 53-72.
- (11/27は11月祭のため授業休止)
- 12/4 政党と議員
- 砂原庸介 2010.「「地方における政党政治と二元代表制:地方政治レベルの自民党「分裂」の分析から」」『レヴァイアサン』47: 89-107.
- *飯田健 2016.「自民党大阪市会議員の大阪維新の会への鞍替えの分析 : 中選挙区制下の再選欲求と潜在的政策選好」『レヴァイアサン』59: 80-105.
- (12/9=合同ゼミ)
- 12/11 地方選挙と国政選挙
- 前田幸男 2007.「選挙制度の非一貫性と投票判断基準」『社會科學研究』58巻5号: 67-83頁.
- *久保慶明 2016.「2014年沖縄県知事選挙と衆議院議員総選挙の得票分析」『政策科学・国際関係論集』17号: 1-37頁.
- 12/18 選挙制度
- *粕谷祐子 2015.「「一票の格差」をめぐる規範理論と実証分析 : 日本での議論は何が問題なのか」『年報政治学』2015巻1号: 90-117頁.
- 松林哲也. 2016.「投票環境と投票率」『選挙研究』32(1): 47-60.
- 12/25 投票行動
- 上神貴佳. 2012.「党派的に正確な投票は可能か : 日本の地方議会議員選挙における有権者の誤認識」『高知論叢 : 社会科学』105: 1-22.
- *梅田道生. 2015.「日本の衆議院総選挙における大規模な議席数の変動とその背景 : 競争的な小選挙区と「行政改革」志向有権者の投票行動の変化」『愛媛法学会雑誌』42(1): 125-153.
- 1/15 有権者
- 直井恵・久米郁男. 2014.「人々はなぜ農業保護を支持するのか? : サーベイ実験から見えてくるもの」『レヴァイアサン』55: 8-35.
- *三輪洋文. 2014.「現代日本における争点態度のイデオロギー的一貫性と政冶的洗練 : Converseの呪縛を超えて」『年報政治学』2014(1): 148-174.
- 1/16(注意!=火曜日だが振り替え)「左右」と政策
- *稗田健志 2014.「左派・右派を超えて? : 先進工業21カ国における育児休業制度の計量分析」『レヴァイアサン』55: 87-117.
- 加藤淳子他 2005.「政府の党派性と経済運営:日本とスウェーデンの比較」『レヴァイアサン』37: 48-74.
- 1/22 政治と政策
- *豊福実紀. 2017.「配偶者控除制度の変遷と政治的要因」『社会保障研究』1(4): 845-860.
- 京俊介 2016.「イシュー・セイリアンスと刑事政策 : 「ポピュリズム厳罰化」と「民意なき厳罰化」の政治過程」『公共政策研究』16:19-32.