甲南大学法学部・政治過程論1/2 (2009)

講義のスライド(*パスワード必要) スライド


前期試験問題

講義内容を参考にしながら,他国との比較や過去との変化にも留意しつつ,現在の日本政治の特徴について論ぜよ.

結果

秀5名,優16名,良12名,可12名,不可2名(単位取得率95.7%)

絶対評価により評点をつけた.点数調整は行っていない.


後期試験問題

講義内容を参考にしながら,第二次大戦終了後から現在に至る日本政治の特徴について論じなさい.解答に際しては,(1)選挙,(2)政党制,(3)執政制度,(4)その他に各自で自由に設定したもの,の四つの論点に分けながら,論述を行いなさい.論点の順序は入れ替えても構わないが,どの論点についての論述なのかを,段落冒頭に明示しなさい.

結果

秀6名,優11名,良10名,可10名,不可9名

絶対評価により評点を出した上で,全員に5点を加える点数調整を行った.


講義の目標

なぜ日本の首相は頻繁に交代するのだろうか,なぜ戦後のほとんどの時期において自民党が政権を担当してきたのだろうか.なぜかつては多くの野党が存在していたのに,現在ではほぼ民主党に集約されているのだろうか.なぜ日本の財政赤字の規模はこれほど大きいのだろうか.なぜ日本の公的年金は将来の維持が危ぶまれるような制度になってしまったのだろうか.

これらは,この講義で取りあげていく問いの一例である.つまり,この講義は現代日本の政治の実態や,その帰結としての政策展開を扱う.中でも,上の例にあるような「なぜ(why)」という問いを考えていきたい.もちろん,「なぜ」という問いを考える前提として,「いかなる(how)」出来事が日本の政治において生じたのか,生じているのかという情報の提供も行う.しかしその上で,なぜそのような出来事が起ったのかまで踏み込んで考えていく力を身につけてもらうこと,それがこの講義の目的である.裏返していうならば,この講義では,日本の政治がいかなるものであるべきなのかといった規範的な議論は扱わない.

説明を与える際には,日本だけではなく,他の国も含めて説明ができるような一般性の高い理論を用いる.他国との比較の中に日本の政治を位置付けていくこと,その際に理詰めで議論を展開していくことが,この講義の説明の方法である.そのため,やや抽象度の高い理論モデルの紹介を行っていく.しかし同時に,そのような抽象的な説明を机上の空論としないために,様々な事象や統計的なデータ,その分析の結果についても,ふんだんに提供を試みていく.

まとめるならば,科学としての政治学(political science)の研究成果に基づきながら,日本の政治を解明していくことが,この講義の目指すところである.

講義の計画

政治過程論I ,政治過程論IIを通じて,全体で四部から構成される.

1.戦後日本政治の展開

(1)政策領域別の事例の紹介

(2)時系列的な日本政治の流れの紹介

2.選挙制度と選挙過程

(1)選挙制度とは何か

(2)有権者の行動に与える影響:政治的な組織の形成

(3)政治家の行動に与える影響:政党の成立

(以下は政治過程論II)

3.執政制度と政治的リーダーシップ

4.非選出部門:官僚制,司法制度

講義はレクチャー形式で行う.要点はパワーポイントで示しながら,口頭での説明を加えていく.パワーポイントのスライドは全ての講義の終了後,ダウンロードできるようにする.このため,板書は用いない.レジュメの配付も行わない.

 評価の方法

学期末の論述試験のみで評価を行なう.評価は相対評価ではなく,絶対評価で行う.つまり,講義の聴講を行い,その内容をおおまかに理解したと認められる答案に可を与え,それ以上の勉学の成果が反映されている答案にはそれより上の評価を与えていく.

 教科書

建林正彦・ 曽我謙悟・待鳥聡史.2008.『比較政治制度論』有斐閣アルマ.


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