1.ねらい
日本の政策過程分析(政策の形成,決定,実施のプロセスを対象とする実証研究)の代表的な業績を題材としながら,日本の行政府がいかにして,政策を形成,決定,実施しているか,その特徴はどのようなものか,なぜ,そのような特徴をもつようになっているのかなどを理解する
日本の政策過程の理解を踏まえ,参加者が今後,自分自身で政策過程分析を行う際に,どのような点に着目すればよいのか,どのような研究デザインを考えればいいのかを考える
何を明らかにしようとするのか(どのような問いを立てるのか)
その問いに対し,どのような答えを予測するのか
その答えが実際に成り立つかどうかを論理的に導く,あるいは証拠を示すことで,確実なものにすることができるか
2.講義の構成
政策の循環にそって,政策のアジェンダ設定,選択肢の模索,決定,実施,政策が持つ効果,その評価を見ていく
一つのテーマについて,理論的,概念的な考察を行っているものと,実際にどうなっているのかを明らかにしようとするものの双方を取り上げる
3.講義計画
第一回(4月18日);イントロダクション
第二回(4月25日);担当者,学内委員会出席のため休講
第三回(5月9日);政策過程概観
曽我謙悟 1998 「アーバン・ガバナンスの比較分析(2)」『国家学会雑誌』第112巻第1・2号,第一章第三節.
第四回(5月16日);誰がどのような役割を担うのか
山口二郎 1994 「政策の類型」西尾勝・村松岐夫編『講座行政学第5巻・業務の執行』有斐閣.
菅 直人 1998 『大臣』 岩波書店<岩波新書558>.
後藤田正晴 『政と官』
第五回(5月23日);誰がどのような役割を果たしているのか
村松岐夫 1990 「政治過程における政党と行政官僚集団」 『法学論叢』第102巻第5・6号.
辻中豊・石生義人 1998 「利益団体ネットワーク構造と政権変動」『レヴァイアサン』臨時増刊号(特集 政権移行期の圧力団体).
サミュエルズ,リチャード 1987[1999] 『日本における国家と企業:エネルギー産業の歴史と国際比較』多賀出版.
第六回(5月30日);何を考えて決定を行うのか
伊藤大一 1967 「経済官僚の行動様式」日本政治学会編『現代日本の政党と官僚』岩波書店.
牧原 出 1994 「官僚制理論」西尾勝・村松岐夫編『講座行政学第1巻・行政の発展』有斐閣.
建林正彦 1997 「中小企業政策と選挙制度」日本政治学会(編)『年報政治学1997 危機の日本外交──70年代』.
第七回(6月6日);どのように決定がなされているのか
加藤淳子 1997 『税制改革と官僚制』東京大学出版会.
鈴木寛・城山英明 1999 「通産省の政策形成過程」城山英明・鈴木寛・細野助博『中央省庁の政策形成過程:日本官僚制の解剖』中央大学出版部.
草野厚 1999 『連立政権――日本の政治1993~』<文春新書068>文藝春秋.
第八回(6月13日);誰によりどのように実施されるのか
森田 朗 1984 「行政裁量に関する一考察─執行活動における決定分析の試み」日本行政学会編『年報行政研究18・日本の行政裁量─構造と機能─』
リプスキ―,マイケル 1980[1986] 『行政サービスのディレンマ』木鐸社.
畠山弘文 1989 『官僚制支配の日常構造』三一書房.
第九回(6月20日);どのようにして社会に働きかけるのか
アッパーム,フランク 1995 「日本的行政規制スタイルの試論的モデル」石井紫郎・樋口範雄(編)『外から見た日本法』東京大学出版会.
北原鉄也 1990 「建設省における行政スタイルの変化」総務庁長官官房企画課『社会経済の変化と行政スタイルの変容に関する調査研究報告書』行政管理研究センター.
真渕 勝 1991 「金融行政の変化:脱規制と法制化」『季刊行政管理研究』第53号.
第十回(6月27日);政策はどのような効果を持つのか
ジョンソン,チャーマーズ 1982 『通産省と日本の奇跡』TBSブリタニカ.
野口悠紀雄 1992 「日本の都市における土地利用と借地・借家法」宇沢弘文・堀内行蔵(編)『最適都市を考える』東京大学出版会.
第十一回(7月4日);政策をどのように評価するのか
田辺国昭 1998 「政策評価」森田朗(編)『行政学の基礎』岩波書店.
第十二回(7月11日);まとめ