京都大学・公共政策大学院・比較行政分析16

  • 目標と方法

サブスタンシブな目標は,行政学の中心的なテーマについて,網羅的に扱いつつ,現代日本の行政の特徴を理解することである.スキル面での目標は,政治学分野の学術文献を読解・検討し,それに基づいて議論が行えるようになることである.

具体的には,比較の手法を用いて,行政に対する経験分析を行っている文献(毎回,教科書の概説2章ほど+論文2本程度)に対する検討を行っていく.比較の方法としては,各国間比較もあれば,一国内での自治体間比較,政策領域間の比較,あるいは時系列比較など,多様な比較の手法を対象とする.また,計量を用いた比較,事例を用いた比較の双方を扱う.

毎回の講義においては,特に報告者を定めることなく,参加者からの疑問点,論点の提示に対し,ディスカッション形式で議論を行う形で検討を進めていく.

  • 課題

毎回の課題文献について,リアクションペーパーを作成する(A4一枚程度:疑問点と論点の指摘;要約などは不要).毎回の講義終了時に提出する(出席の確認を兼ねる;合計で39点).講義はそこで示された疑問点,論点の検討によって進めていく.

学期終了までに,タームペーパーを執筆する(61点;平均的な水準のものに対し40点を与える).各回のテーマの中から一つを選び,関連する研究を読むことで先行研究のレビューを行うか,具体的な事象についての事例分析,あるいは計量分析を行うことでも,いずれでも構わない.日本語で8千字(A4で7頁)程度.提出方法と提出日は追って指示する.

リアクションペーパーとタームペーパー全体を通じて,希望者には,各人へのフィードバックを行う(30分程度の口頭での講評とディスカッション).2月下旬から3月上旬を予定している.

  • 各回の内容と課題文献

10月3日 イントロダクション;太田(2014)

10月17日:政官関係;蒔田(2014),待鳥(2015),曽我(2013)1-2章

10月24日:政策決定過程の構造;河合(2012),高松(2004),曽我(2013)3章

10月31日;政治・行政関係の帰結;武蔵(2009),上野(2010),曽我(2013)4章

11月7日;組織とその行動;手塚(2013),原田(2014),曽我(2013)5章

11月14日:人事の実態;林(2015),前田(2016),曽我(2013)6章

11月28日;行政組織の独立性;青木(2015), 藤田(2012),曽我(2013),7,8章

12月5日;政府間関係(垂直);北村(2008),久米(2000),曽我(2013)9,10章

12月12日;政府間関係(水平);伊藤(2005),野波ほか(2014),曽我(2013)11,12章

12月19日;福祉国家;北山(2003),稗田(2014),曽我(2013)13章

12月26日;規制改革;秋吉(2010),深谷(2012),曽我(2013)14章

1月4日:月曜講義日であるが,休講とする.

1月16日;政策の効果と評価;田辺(2006),松林・上田(2013),曽我(2013)15,16章

1月23日;制度変化;村上(2015),砂原(2011)

〔文献リスト〕

青木 栄一. 2015. 「警察行政・消防行政との比較からみた教育行政の独立性」『日本教育経営学会紀要』57: 24-39.  http://ci.nii.ac.jp/naid/110009999339

秋吉 貴雄. 2010. 「規制政策の政策管理システムをどのように構築するか? : 第一次電気通信規制改革過程の日英比較分析を通じて」『熊本大学社会文化研究』8, 1-9.  http://reposit.lib.kumamoto-u.ac.jp/handle/2298/14651

伊藤 修一郎. 2005. 「先行自治体の政策過程分析–金沢市と神戸市による景観条例制定を事例として」『論叢』2: 61-86. https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=7398&item_no=1&page_id=13&block_id=83

上野 淳子. 2010. 「東京都の「世界都市」化戦略と政治改革: 開発主義国家がネオリベラル化するとき」『日本都市社会学会年報』28: 201-217. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpasurban/2010/28/2010_28_201/_pdf

太田 有子. 2014. 「資源ガバナンスの比較地域分析:陶磁器業の生産流通制度をめぐる関係性の形成と変容」『社会学評論』65, 1: 16-31.

河合 晃一. 2012. 「通商政策過程における制度の役割 -農産物の自由化をめぐる二国間交渉の事例間比較」『公共経営研究e』6, 1-27.  http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/38593

北村 亘. 2008. 「中央地方関係から見た日本の財政赤字」『年報政治学』2008, 2: 11-36.  https://www.jstage.jst.go.jp/article/nenpouseijigaku/59/2/59_2_11/_article

北山 俊哉. 2003. 「土建国家日本と資本主義の諸類型」『レヴァイアサン』32, 123-146.

久米郁男. 2001. 「機関委任事務制度はいかなる政策効果を持っていたのか:幼稚園行政と保育行政の比較を手がかりに」『季刊行政管理研究』94: 22-32.

砂原 庸介. 2011. 「自己強化する制度と政策知識 : 医療保険制度改革の分析から」『大阪市立大学法学雑誌』57, 3: 287-323.

曽我謙悟. 2013. 『行政学』有斐閣.

高松 淳也. 2004. 「社会資本整備の政治過程における決定のルールとアリーナ–整備新幹線と空港整備をケースとして (特集 比較政治学と事例研究)」『レヴァイアサン』35: 59-85.

田辺 国昭. 2006. 「政策評価制度の運用実態とその影響」『レヴァイアサン』38: 86-109.

手塚 洋輔. 2013. 「事後検証機関の設置形態とその変化」『現代社会研究』16, 5-18.  http://repo.kyoto-wu.ac.jp/dspace/handle/11173/1541

野波 寬・土屋 博樹・桜井 国俊. 2014. 「Nimbyとしての在日米軍基地をめぐる多様なアクターの正当性:公共政策の決定権に対する当事者・非当事者による承認過程」『実験社会心理学研究』54, 1: 40-54. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjesp/54/1/54_1211/_pdf

林 嶺那. 2015. 「東京都における人事管理の研究 : 稲継モデルを手掛かりとして」『国家学会雑誌』128, 1: 119-190.

原田 久. 2014. 「政策類型と官僚制の応答性 : パブリック・コメント手続を素材にして」『立教法学』90: 144-161.  https://rikkyo.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=10797&item_no=1&page_id=13&block_id=49

稗田 健志. 2014. 「左派・右派を超えて? : 先進工業21カ国における育児休業制度の計量分析」『レヴァイアサン』55: 87-117.

藤田 由紀子. 2012. 「原子力と食品の安全 : 行政組織の独立性・専門性・セクショナリズム」『専修大学法学研究所紀要』37, 3-36.  http://ir.acc.senshu-u.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3831&item_no=1&page_id=13&block_id=52

深谷 健. 2012. 「規制緩和過程のセクター間比較分析 : 航空・石油・通信セクターを素材として」『年報行政研究』47: 115-133.

前田 貴洋. 2016. 「自治体における人事異動の実証分析 : 岡山県幹部職員を事例として」『法学会雑誌』56, 2: 343-391.

蒔田 純. 2014. 「政治任用の制度的・機能的発達に関する比較分析 : 日米英仏を事例として」『年報公共政策学』8: 125-144.  http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/59393

待鳥 聡史. 2015. 「官邸権力の変容 : 首相動静データの包括的分析を手がかりに」『選挙研究 : 日本選挙学会年報』31, 2: 19-31.

松林 哲也・上田 路子. 2013. 「福祉・経済政策と自殺率 : 都道府県レベルデータの分析」『日本経済研究』69: 96-109.

武蔵 勝宏. 2009. 「文民統制の変容と防衛省改革」『同志社政策科学研究』11, 2: 163-181.

村上 聖一. 2015. 「戦後日本における放送規制の展開 : 規制手法の変容と放送メディアへの影響」『NHK放送文化研究所年報』59, 49-127.