関西大学・院・特論研究11

●ねらい

 現代政治学の分野で実証研究を進める際の研究手法について理解することが,この講義の目標である.方法論を学ぶことは,いわばスポーツにおける効果的な体の動かし方を座学で学ぶようなものである.それだけでスポーツができるようになるわけではないが,しかしそれを知らずに見よう見まねで始めれば,なかなか上達しないどころか,悪い癖がついて矯正に時間がかかることすらある.

 具体的には,様々な研究手法について概説を加えた文献,質的研究の方法論について量的研究との連続性,対比を強く意識して書かれたもの,そしてそれに対する批判,検討を加えた文献の三つの課題文献を講読していく.

 これらの方法論についての文献を独学で学ぶ場合,どこまでが絶対に守るべきルールであり,どこからは各自の裁量に委ねられるのかの判断がつけられないことが問題となる.そのために,その文献に書かれていることを金科玉条としてしまうか,逆にそれらすべてを守ることは不可能だとして放棄してしまうかという両極端の結果に陥りやすい.

 この講義では,担当者自身がこれまでの研究生活で学んできたことや失敗例なども織り交ぜながら解説を加えることで,研究をおこなう上での勘所がどこにあるのかを伝えたいと思う.

●進め方

 三つの文献それぞれについて,4〜5回程度かけて講読を進めていく.したがって,毎回60頁程度の日本語文献を読んでくることが課題となる.各回の講義では,報告者を定めず,ディスカッションを進めていく.特に提出は求めないが,ディスカッションに向けて取り上げるべき論点や疑問点については,メモを用意した上で講義に臨むこと.また,課題文献のコピーは用意しないので,各自で用意されたい.

 講義終了後に,レポート課題(リサーチデザインを示すもの.A4で2枚程度)を課す.

●文献

清水和巳・河野勝(編著)『入門 政治経済学方法論』東洋経済新報社,2008年.

キング・コヘイン・ヴァーバ『社会科学のリサーチ・デザイン』勁草書房,2004年.

ブレイディ・コリアー『社会科学の方法論争』勁草書房,2008年.

●評価

 毎回の講義における参加の程度(単なる出席は参加ではない):70%

 講義終了後一週間以内に提出をもとめるレポート:30%


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